束縛する人
薄暗くなっているとはいえ
夕方のこの時間には
下校中の生徒が多く通っている
案の定
向かい側を歩く同じ高校の生徒は
呼ばれた私のことを
チラチラ横目で見ながら通っていく
バイト先のレストランからも
歩いてたった10分の距離
知り合いに見つかってもおかしくない場所――…
――“みか”なんて呼んで…
バイト仲間にでも聞かれたらどうするんだろう
もう名前を呼ばれないよう
気付いたことを知らせるサインに
大きく手を振って見せ
慌てて塚本さんの元に駆け寄る