束縛する人
「ウソじゃないって…
美佳ちゃんだけだよ」
捕まれた右手首に
力が込められるのが分かる
笑みが消え
真剣な眼差しに変わった瞳で塚本さんに見つめられ
耳まで赤くなっていく自分が分かる。
初めて触れられたうれしさと
男の人を感じる眼差しに
ドキドキと鳴り出す心臓。
「…そんなこと言われると
勘違いしちゃいますよ」
“可愛い”に意味がなかった時の
がっかり感を先に考えてしまい
無理やり作った笑顔で強がって答える。
目をみるのがやっとで
上手く笑えているのかも分からない。
「勘違いって?
オレ、美佳ちゃんのこと可愛いって思ってるし
…美佳ちゃんのこと好きだよ」
目をそらすことなく真っ直ぐに告白され
真っ赤な顔と
涙目になった私は
迷うことなく
付き合い始めることにした。