永遠の約束-聖母の涙-
序章











 静寂の夜の帳。


 深い夜の世界が広がる中に、煌々(こうこう)と輝く月の光。


 空に浮かぶは満月の月。


 いつもよりも、面積を大きくした光が、天窓を通り越して降り注ぐ。











 ジャリ…


「~~~っ、~~~!」





 ゆっくりと歩いてくる人影。


 まっすぐに伸びてくる暗い影。


 頭からは深いフードをかぶり、その奥に潜む顔を見ることはできない。





 そして、神秘的な月の光が射し込む建物の中に、一人の少女は柱に身動きができないように縛り付けられていた。


 口に猿轡(さるぐつわ)をされ、声をあげることもできない少女はただ、今、この自分が置かれている状況に、必死に涙を流しながら首を振ることで抵抗する。





 体は震えすぎて、今も震えているのかその感覚すらない。


 今すぐにでも、恐怖から意識が飛んでいきそうだが、必死でそれを堪える。


 もし、意識を失えば、きっと、自分は二度と目を覚ますことはない。


 そんな予感が彼女にはあったからだ。





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