永遠の約束-聖母の涙-


「うん…。

実は、二週間ほど前に立て続けに聖マリオネット女学院の生徒が二名、不審死を遂げるという事件が起こっていてね―――…」


「それは―――、連続殺人ということですか?」





 まっすぐに松下を見る深青。


 松下は、その深青の視線を受けながら深く頷いた。


「初めの段階では、そう考えていた。

しかし、捜査は難航し、連続殺人でありながらも、不可解な点が幾重にも見受けられてね―――…」


「―――人ではない、何かの仕業―――…」


「さすがだね、深青ちゃん。

その通りだよ。

だからこそ、警察の上層部から『一陣風霊会』に協力の要請があった」


『一陣風霊会』。


 それは、人智を超える力による事件を解決する組織。


 そこには、数多くの能力者が在籍し、事件捜査のために動いている。


 そして、この松下もまた、その組織に所属している。


 しかし、彼の場合は裏方。


 微かな弱い能力はありながらも、事件捜査に動けるほどの強い力は持っていない彼は、仕事の割り振りや資料作成など、事務方に徹していた。


「『一陣風霊会』が動いているとなれば、どうしてわざわざそんな話を私に?」





 高い能力を持つ者たちがいる『一陣風霊会』。


 彼らが動いているとなれば、人ではない何者かの仕業であろうとも、わざわざ深青に話を持ってくる意味がわからない。


 こんな話をしに来たというのなら、ただの世間話というわけではないだろうと、深青は考えていた。


 そして、その考えは当たっているのだろうと―――…





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