永遠の約束-聖母の涙-
「ああ……。
そして、彼がどうして君の名前を知っていたのか、それも突き止めたよ」
やはり―――…。
そこまで調べがついていないと、松下がそのことを口に出すとは、深青には考えられなかった。
「それで!?
もしかして、六年前の事件の!?」
「唯香。落ち着きなさい。
松下さんが話そうとしていることの腰を折らないの」
興奮気味に聞く唯香を宥めるさゆり。
さゆりは、ただ唯香を諌めるだけで先ほどの同じように、黙って松下の話に耳を傾けた。
「―――ごめんね、唯香ちゃん。
残念ながら、そうじゃないんだ。
それと、深青ちゃんには謝っておかなくてはいけないことが一つだけある」
「なんですか?」
「すまない――…。
実は、一年前の事件のことで君の名前が組織の中で出たことがあるんだ」
「あ……。
でも、それは仕方がないです。
私もそうなるだろうという覚悟の上で、力を使いましたから」
「だけど―――、君の名前が少しでも挙がったことは、私のミスだ」
「そ、そんな!
松下さん、頭を上げてください」
頭を下げる松下を見て、深青は慌てて止める。
「それは、いいんです。
だから、今の話を教えてください。
誰がどうして、何の目的で私のことを調べようとしているのかを」
松下は、寂しそうに微笑むとスーツの胸ポケットに手を入れると、何枚かの写真を取り出した。
そして、机の上に並べた。