永遠の約束-聖母の涙-
その中の一枚へと目を向けた時、深青は驚きのあまり目を見開いた。
その姿を、心配そうに唯香とさゆり、松下が見ていることも忘れて。
「―――き、綺羅……」
「そうなんだ。
実は二ヶ月ほど前に、彼が通っている青涼学園(せいりょうがくえん)で、奇怪な事件が起こってね。
そこに、この二人を派遣した」
松下は机の上に並べてある写真のうちの二枚を深青の前に差し出す。
そこには、黒い髪の精悍そうな顔つきの少年が一人と、こちらもまた、黒い肩までの髪の可愛らしい少女が写っていた。
「名前は男のほうが海棠真之(まさゆき)。
そして、女のほうが宮城礼香(みやぎれいか)。
どちらも、『一陣風霊会』の中ではトップクラスの霊力を持つ霊能力者だ」
「この二人が、私のことを調べているのですね……。
そして、二人が私のことを知ったのは、恐らく綺羅から―――…」
「そうだろうね。
本来なら、私は今すぐにでも君のことを彼に教えてあげたいと思っている。
彼が藁をもつかむ思いで、深青ちゃんのことを探していたのを、私はずっと知っているからね」
―――綺羅…
その名前を聞くだけで、私の胸はキュッと苦しくなる…。