永遠の約束-聖母の涙-
松下はお世辞や、誇張するような言い方はしない。
だからこそ、エキスパートと彼が言ったからには、そうなのだろうと深青は思った。
だけど、だからこそ、そんな三人もが何の成果もなく、逆に被害に遭い、調査を中止するがはめにまで陥ってしまったことに深青は神妙な顔を浮かべた。
事態は、かなり悪い。
調査をしながら、何もわからなかった。
ただ、それだけならそれほど心配することもない。
だけど、被害に遭ったということは、警告に等しい。
つまり、それは痛い腹を探られつつあったということ。
そして、そこから導き出される結論は、今回の事件は人ではないものが関わっているということでもあった。
松下は後ろへと下がると、いきなりガバッと畳に頭がつくほどに頭を下げてきた。
それは、まさしく土下座。
その松下の行動を見て、深青たち三人はびっくりしてしまい、腰を上げた。
「あ、あの、松下さん!?
頭を上げてください!」
「いいえ!
無理は承知でお願いに上がりました。
この事態を見過ごすことも、また、犠牲者を出すこともできません!
ですが、情けないことに今の『一陣風霊会』には、この状況を打破できるほどの人材もいない。
だからこそ、こうしてお願いに上がった次第です」
制止する深青を振り切り、松下は頭を下げたまま頼む。
その状況に、さゆりと唯香は何も言えず、ただ呆然と見ているしかなかった。