永遠の約束-聖母の涙-
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「それにしても、本当に阿部さんって成績優秀者だったんですね。
まさか、学年でトップだとは―――…」
「そんなに仰らないでください。
私はただ、毎日勉強しかすることがありませんでしたから。
それで、いつの間にか勉強だけをしていると、身についてしまっていたらしく」
「いいじゃありませんか」
「そうですか?
ただ、自由がなかっただけです……」
「え?」
微かに聞こえた真理亜の言葉に、深青は真理亜を見る。
だけど、真理亜は何事もなかったかのように笑っただけだった。
「それより、如月さん。
お食事に行きませんか?
今日はカフェテラスででも」
「あ…。
でも、私、お弁当を持ってきているので」
とてもじゃないけど、その誘いには乗れない。
転校して初日に、深青はとんでもないことになってしまったのだから。
それは、ここの学校の金銭感覚が一般とは違うということ。
校内に食事どころが四つもあるということ自体、他の学校とは違う。
何より普通の公立高校ではあっても食堂だけ。
なのに、ここには和、洋、中の一流店。
そして、気軽なカフェを楽しめるカフェテリアが存在している。
そこで転校初日に深青は、お弁当を持参してきながらも、クラスとの友好を深めるために、食事の誘いに乗った。
それがそもそもの間違いだったのだ。