永遠の約束-聖母の涙-
先ほど通ってきた道を逆戻りし、深青たちは薔薇苑と呼ばれる微かな広場へと歩いてきた。
薔薇が見え始めた途端に、風に乗って薫ってくる薔薇の匂い。
カフェへと向かう時は、それほど気にも留めていなかったが、いざ、目の前に広がる光景を見ていると、そこは優雅なおとぎ話にでも出てくるような広大で綺麗な風景だった。
「さあ、こちらです」
あまりの光景に目を奪われていた深青は、真理亜の声にハッと我に返り、慌てて真理亜の後について行った。
「今日は天気もよくて、よかったですわ…」
「そうですね…」
深青たちは、あえてテーブルがある場所ではなく、ベンチへと腰を下ろした。
そして、空を見上げればそれは綺麗な青空が広がっていた。
「まあ、美味しそう!」
「へ?」
空を見上げていた深青はその声に、真理亜へと振り返る。
その真理亜は、キラキラとした目でなぜか深青のお弁当の中をジッと見つめていた。
まさか、私のこのお弁当のことを言っているんじゃないよね?