永遠の約束-聖母の涙-





 ゆっくりと歩いてくる人影。


 ふと、視線を向けると何気なく見た中に、とんでもないものを確認して、祥子は必死に縛られていながらも、逃げようと体をもがく。


「~~~~っ! ~~~~~っ!!!」





 キラリと光る刃。


 今すぐにでも意識を失いそうになるほどの恐怖。


 それと同時に、諦めのようなものが自分の中に流れ込んできて、頭の中が冴えてくる。


 こんな状況なのだから、パニックを起こして気を失ったほうが、幾分も楽なのではないかとそう思うのに、思えば思うほど、頭の中は冷えていく。


 それは、もう、自分は助からないとわかっているからかもしれない。





 何度となく後悔をした。


 ここに連れてこられ、縛られて、今、この状況の陥ってからも陥る前も何度も。


 どうして、自分は目の前の人物について行ってしまったのか。


 なぜ、家に帰らなかったのか。





 何度悔やんでも、今頃遅い。


 そのことも、よくわかっている。


 だけど、悔やまずにはいられない。











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