永遠の約束-聖母の涙-
「あの~…、阿部さん?」
「あっ、ごめんなさい。
あまりにも美味しかったもので……」
深青に声をかけられた真理亜はハッとしながら、頬を赤らめ恥ずかしそうに笑う。
「お口に合いましたか?」
「はい。とっても…」
その言葉に、深青はホッとした。
欲しそうにされたから、ついお弁当を薦めてしまったものの、一流のものを食べなれているだろう真理亜の口に合うものかと気になっていたから。
「これが、家庭の味というものなんですね…」
「―――え…?」
遠くを見ながら、切なそうに呟いた真理亜。
だけど、その表情は一瞬だけで、真理亜はにっこりと笑うと、
「如月さんも、こちらのサンドウィッチ、どうですか? 多めに買ってきたので」
と深青に自分が買ってきた高級なサンドウィッチを深青に差し出してきた。
「あ、はい。ありがとうございます…。
………!
お、美味しい!」
真理亜の表情が気になったものの、薦められて口に入れたサンドウィッチのあまりの美味しさに、深青の頭からは消えてしまっていた。