永遠の約束-聖母の涙-
「そうですか。
それは、よかったです」
「美味しいですよ、本当に!」
たかが、サンドウィッチ。
されど、サンドウィッチ!
興奮気味にサンドウィッチを頬張る深青。
事件を解決するまでの期限付きのここでの生活。
だからこそ、深青は絶対に普通の高校では味わえないこの経験を楽しもうと思った。
「あ、そうだ。
前から思っていたんですけど、阿部さん。
私のこと、深青でいいですよ。
如月さんって呼びにくくないですか?」
「そんなことはありませんが………。
いいんですか?」
「はい?」
「名前で呼んだりして」
「はい! それはもちろん!」
転校してくれた初日から親切に、自分に接してくれている真理亜。
だけど、この学校ではそれが普通なのかもしれないが、お互いを苗字で呼ぶその関係に、深青はなんとなく一線を引かれているような気がしていた。
だから、自分なりに断られるかもという覚悟の上、そう言ったのだが、嬉しいことに肯定の返事が返ってきたことが、深青にはとても嬉しかった。
少しだけだけど、真理亜と近づけたような気がしてきたから。