永遠の約束-聖母の涙-
第2章 学園に舞い降りた吸血鬼
(1)
「ねぇ。
あれって例の事件でですよね………」
前のほうの席にたむろっている三人の声に、深青は読んでいた本から顔を上げた。
彼女たちが見ている先を追うように、深青も窓の外へと視線を向けた。
すると、校門を入ってすぐのところに、一台の黒塗りの車が停まっているのが目にとまった。
見た限り、別に変わったことのないその車を見て、なぜ?と思い、目を凝らしていると、事件があったことで、校門前に立っていた制服姿の警官が一人の男性に向かって敬礼をしていた。
ああ…。
あの人は刑事さんか………。
となると、あの黒塗りの車は覆面パトカー…。
彼女たちが誰のことを指して言っていたのかはわからないが、深青は彼女たちの話に耳を傾けた。
「犯人、まだ見つかってないんですって……」
「なんだか、気味が悪いですわね…」
「おまけに聞かれました? これまでに亡くなられた方たちのこと…」
「え? なんですの?」
思わず深青も聞き耳を立てる。