永遠の約束-聖母の涙-
「深青さん?」
キョロキョロと辺りを見渡していると、自分を呼び止める声。
自分のことを『深青さん』と名前を呼ぶ人物はこの学園では一人しかいない。
「―――真理亜さん……」
「どうされたんですか? こんな場所で―――…。
授業はもう、始まってますよ?」
「えっ!?」
どうやら、必死になって探しているうちに、始業のチャイムが鳴っていることにも気づかなかったらしい。
だけど、それと同時に、一つの疑問が深青の頭に浮かぶ。
「―――真理亜さんこそ、どうされたんですか?
始業のチャイムが始まっているのなら―――…」
当然、同じクラスである真理亜も授業の出席していなければいけないはず。
「私は、この先の教会に用があって―――…」
「教会?」
深青は真理亜が指差す先へと視線を向けた。
必死に、この学園の構造を頭に叩き込んでいる最中である深青。
だけど、深青の頭の中にあるこの学園の地図の中に、この先に教会があるなんてなかった。
カトリック系であるこの学校には、教会はもちろん存在していた。
それも、ホールと対称の位置に、目を引くほどに大きな建物として―――…。
でも、まさかもう一つ教会があるなんて思いもよらなかった。
それに、初めに松下からもらった学園の地図の中にも、そんな教会があるなんて印はなかった。