永遠の約束-聖母の涙-
「もうっ!」
そう言いながら、不安定に揺れているトレーに自分以外の手が触れた。
「……ふぅ~…。助かった~…。
……って!
いきなり驚かさないでくれる!? お姉ちゃん!」
「―――唯香…。
あのね…、そこは私が責められるところなのかしら?」
「へ?」
「それを持ってきてくれたのなら、こんなところで立ち聞きするようなことしないで、さっさと入ってくればよかったじゃない」
「あれ? 気づいてた?」
自分で言いながらも唯香は、深青なら気づいて当然かとも思った。
人よりも優れた能力を持ち、本来なら如月神社の正当な後継者であるはずだった姉、深青。
その能力がどれだけのものかということは、妹である唯香はいやというほどわかっていた。
そんな力を持つ姉なのだから、部屋の外に人の気配があるなんてことはお手のものなのだろう。
「そうでした、そうでした。
お姉ちゃんには、こういうのはすぐばれるんだった」
「何言ってるのよ。
あんただって、気配は気づいちゃうんでしょ?」
「う…。まあ…ね…」