永遠の約束-聖母の涙-
「そんなことは言わないわ」
「それなら、そう思う根拠がお姉ちゃんにはあるのよね?」
「ええ。
痕跡は今のところ見つからない。
だけど、学園に流れる不穏な空気は感じるの」
「・・・・・?
なに、それ?
痕跡と空気って一緒じゃないの?」
「違うわよ。
強烈な強い力や痕跡はみつからない。
だけど、学園内で何かしらの不穏な空気は感じられるのよ。
それも得体のしれないほどの黒い存在の」
「う~ん…」
唯香は唸りながらも、茶菓子に手を伸ばし口の中で頬張った。
姉の言いたいことはわかる。
だけど、はっきりとした根拠や論理をきちんと確認してから述べるいつもの姉の口調にしては、歯切れが悪かった。
でも、それだけお姉ちゃんもこの事件に行き詰ってるってことか…。
そうでもなければ、わざわざ調査中に家に帰ってくるなんてことはしないわね。
「とにかくあの学校、敷地だけでもすごい広さなのよ。
この前なんて、松下さんからもらった学園内の地図以外にも建物があるってことを知ったし…」
「あ、そうなんだ~…」
「そうなのよ……」
唯香は何気なく聞き流し、もう一つと茶菓子に手を伸ばしたところで、バシッと手を叩かれた。
「いった~い!
もう、お姉ちゃん、何するのよ!」
「ちゃんと、聞いてる?」