永遠の約束-聖母の涙-
「聞いてるよ…。
酷いな~…。
とにかく、お姉ちゃんが捜査に行き詰ってるってことは、わかったから」
「それは、そうだけど……。
だからこそ、唯香の意見が聞きたかったんじゃない」
「聞きたいって言われても、今のお姉ちゃんの話だけだとさっぱり意味がわからないんだけど?
だから、意見を聞きたいと言われても言えるようなことは……」
「だから、それは今から説明するから。
きちんと、聞いててよ」
「はいはい」
叩かれた手を擦りながら、適当に返事をした唯香は刺すような視線を感じ、顔をあげる。
すると、いつもは温和な深青がにっこりと笑みを浮かべて座っていた。
だけど、その笑みの後ろに流れる負のオーラに、唯香は慌てて姿勢を正した。
「それじゃ、説明を始めるわね。
聖マリオネット女学院の正規の地図がこれ。
これが、松下さんが私にくれた地図ね。
そして、まだ全部とは言い切れないけど、他にもあるとわかってから調べた地図がこれ」
ファイルの中から深青が取り出した二枚の地図を見て、唯香は眉を顰める。
「なに、これ。
松下さんがくれた地図のほぼ三分の一ほどが、補足されてるじゃない」
「そう。
私がさっき言ってた意味はこういうこと」
「つまり、この地図の範囲はこれからも増えていくかもしれないってこと?」