永遠の約束-聖母の涙-
「う…ん。
それは、なんとも言い切れないわ。
ただ、あれから敷地内をもう一度念入りに調べて建物の概要などは書き込んだ。
だけど、その内部はまだ全然調べていない状態なの」
「これって、警察も松下さんがくれた地図を元に捜査…してるんだよね?」
「おそらくね……」
深青の言葉に、唯香はハァ…と溜息を吐く。
それと同時に、今回深青が潜入している聖マリオネット女学院という学校が普通の学校とは違い、特殊な環境にあるということが容易に想像できた。
「お姉ちゃん…。
素人目の意見だけど、わざわざ偽の地図を作る学校って、一体どんな学校?
そもそも、生徒が襲われるとかそういう以前に、そんな学校、怪しすぎない?」
「そう…ね……。
でも、そもそもあの学園は力関係というか普通の学校の常識というものは通じないし、その考え自体を捨て去らなくてはいけないのかもしれないわ。
だから、私たちにとっては、普通じゃないことでもあの学校ではそれが普通なのかもしれない。
偽の地図を作るのも、それなりの名家の家の令嬢をあずかっているから、そのためのセキュリティの一環かもしれないし…」
「あ、なるほど…。
そう言われると、なんとも………」
言葉ではそう言ったものの、唯香には納得がいかないものがあった。
やはり、おかしい。
たとえ、それがセキュリティの一環だとしても、案内図に偽の地図を載せるのはまだわかる。
それは、外部の人間でも見ることができるものだから。
だけど、事件の捜査に来ている警察にまで偽の地図を与えるその根拠が唯香にはわからなかった。