永遠の約束-聖母の涙-
「つまり…。
お姉ちゃんは、その未だに調べ切れていない場所が怪しいと?」
「―――断言はできないわ…。
ただ、私の中に何かを訴えているような不穏な気配を感じるのよ。
はっきりとした痕跡も何もない。
ただ、何かを感じる」
深青が感じるその気配こそ、力の強い陰陽師である如月家の血を引く能力の一つであった。
「他に怪しいと感じたことは?
これほど連続して事件が起きているんだもん。
痕跡はなくても、何かしらの変わったこととかないの?
ほら、霊とかって無差別に襲うこともあるけど、何かしらの目的とかもあるじゃない。
たとえば、人にとりつくとか………」
「・・・・・・・・」
深青の目を盗んで、テーブルの上にあるお菓子を口に入れながら、唯香は何気なく言った。
てっきり何かを言ってくるかと思っていた深青が急に黙り込んだことに唯香は姉の顔を見る。
すると、深青は神妙な顔で顎に軽く指をかけていた。
「ど、どうしたの? お姉ちゃん…?」
「そうよ…。
私、どうしてあの時のことを忘れていたのかしら?」
「へ? 忘れてたって……?」
急に顔を上げ、真剣な眼差しで深青から見つめられ、唯香はギョッとする。