永遠の約束-聖母の涙-
「あら、深青。もう、学校に戻るの?」
「ごめんなさい、お母さん。
ちょっと、気になることがあるから」
「まぁ~、そうなの?
久しぶりだから、せっかく腕によりをかけた料理を作ろうと思ってたのに…」
「ごめん。
お母さんの手料理は、この事件が解決したら、ゆっくりいただくから」
階下で繰り広げられている母と姉の会話を耳にしながら、唯香はボソリと呟いた。
「本当、仕事人間…」
久しぶりの家族団らんとなるかと思ったこの日は、その願いは叶うことはなかった。
そして、この一縷の道筋を見出すための帰省で気づいたことで、事件は動き出そうとしていた。