永遠の約束-聖母の涙-
(4)
「きゃあっ!」
その声に、深青は振り返った。
すると、同時に後ろを歩いていた女生徒が深青をめがけて倒れこんでくる。
「え……? だ、大丈夫?」
思わず、日頃の身体能力から深青はその女生徒を受け止めた。
「……え、えぇ…。
あ、ありがとう………」
突然のことに驚いているのか、放心状態でありながらもしきりになぜか後ろを気にする彼女。
そんな彼女に、深青も彼女の後ろへと視線を向ける。
だけど、彼女の後ろには五十メートルほど離れた先ぐらいに、ちらほらと歩いてくる生徒がいるぐらいで誰もいないし、何もない。
「どうかしたんですか?」
不自然な彼女の様子に、つい深青は問いかけていた。
「ええ…。
私、さっき誰かに背中を押された感じがしたんですけど………」
「え……?」
「でも、気のせいみたいですね。誰もいないみたいですし…」
苦笑しながら、「それでは…」と一礼して先へ行く彼女を見ながら、深青は眉を顰めた。
そして、もう一度後ろを振り返った。