永遠の約束-聖母の涙-
クスクス…
後ろから、品の良い笑い声が聞こえてきたことで、深青は振り返る。
「おはようございます、深青さん」
「阿部さん……」
にっこりとした笑みを浮かべる、少し色素の薄い腰まである長い髪。
まるで、フランス人形のような容姿の彼女に、深青は目を奪われながらも名前を呼んだ。
「そんなに溜息ばかり吐かれていると、幸せが逃げてしまいますよ」
口に手の甲を添えるような形で、控えめに笑う彼女に深青は苦笑する。
「ごめんなさい。
転校してきたばかりだから、まだ、慣れなくて―――…」
「そうですね……。
前の学校は確か公立高校だったのですね?」
「はい………」
「それじゃ、仕方ないかもしれませんね。
この学校は、私立の中でも特殊な学校ですから」
「あはは。
そうみたいですね」