例えば私と彼が。
「いきなり呼び捨てかょ…―」
私はその言葉にハッとして口を両手で塞いだ。
「はじめまして!今日からドラマで弟役でお世話になります!!」
私は必死に喋った。
山代幹太は私を頭から足までしばらく見つめると
「お前、ホントに男?」
と、言った。
またまた山代幹太の言葉にハッとする。
髪は昨日の夜、バッサリ切った。服だってカッコいい服を選んだ。
ただ、尻餅をついた姿勢がまるで女の子だって―…………
気付かれた…―。
「お前、オーディション受けたの?」
「書類審査だけだったんだもん」
「帰れ。バレたらどうすんだ?」
「無理です!私の夢だもん。」
「かぁお前、女じゃん!!」
「やってみなきゃわかんないです!!」
「―…俺は助けないからな!」
座り込んだ私に手を差し伸べないままスタスタと山代幹太は行ってしまった。
私、絶対負けない!!