例えば私と彼が。

｢よし！30分休憩！！｣


私は弟役だから出番はあまり多くなかった。


でも、他の役者さんの演技をこんなに近くで見られるのはとても楽しかった。


｢ヒカル君。はじめまして。田辺龍です。知ってるかな？｣


隣に座って声をかけてきたのは大物俳優の田辺龍だった。


｢もちろんです！！知らないひとなんていないですよ！宜しくお願いします。｣


私は思わず立ち上がって挨拶をした。


｢ヒカルって呼んでいぃ？｣


｢もちろんです！｣


｢ヒカルは可愛い顔してるね。｣

｢そんなことないですょ。｣


田辺龍は笑いながら私の頭を撫でると

｢台本のチェックをしてくるよ｣

と言って行ってしまった。


可愛いだって………―♪


にやけてしまう顔を両手で隠した。

―ドカッ。


音に驚いて顔を上げると山代幹太が隣に座っていた。