例えば私と彼が。

撮影が終わり、ホッと胸をなで下ろす。


神様、今日は1日乗り越えました。


感謝します!!


「ヒカル!!」


振り返った先に手を振っていたのは田辺龍だった。


ホモ?

かも?


どうしょう……。

「この後、何か予定がある?」


「あ…―いぇ。」


「じゃあ、食事に行こうか」

どうしょう。


ホモ?

気になって上手く応えられないょ


「ヒカル。待たせたか?」


ナイスタイミング!!!


後ろにいたのは山代幹太だった。

「あ。田辺さん。今、Aスタジオに歌手の佐々木遼が入ってきましたょ。」


「えぇ〜遼ちゃんが!?じゃあ、ヒカル食事はまた今度ね!」

さっきまでのクールな姿はどこへ消えたのか、ニコニコしながら田辺龍はスタジオの方へ走っていった。


「バカだな。俺と出掛けるって断れって忠告しただろ?」


「―……ありがとう。」


「行くぞ。」


「は?どこへ?」


「飯だ、飯!」


ホントは山代幹太って悪い奴じゃないかも。


助けてもらっちゃった。

私はお姉ちゃんに言えない秘密を胸に抱えた。
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