恥ずかしがり屋な君と無自覚な私
「ほら、前見てないと転ぶぞ」
そう言ってさりげなく私の手を握る。
ドキッとする私の心臓。
手を握られたの初めてだよ…。
手、汗ばんでないかな?
握られた手を見ながら私は橋本くんの後をついて行った。
「ここ、俺のつれてきたかったとこ」
立ち止まった橋本くんの見ている所を見ると少し古ぼけた小さなお店。
中に入ると、綺麗な石で造られたアクセサリーが売っていた。
「うわぁ…きれい…」
赤や黄色、青とか緑とか、いろんな色をしたアクセサリー。
ネックレスから指輪ブレスレットそれからピアスとイヤリング。
「いらっしゃい、って彩翔じゃねーか。そこの可愛い嬢ちゃんはおめーのこれか」
ニヤニヤした定員さんらしきひとが小指を立てて橋本くんを見る。
あたしは少し照れながら下を向いた。
今は違うけど、いつか必ず!
「ちげーよ」
うぅ、即答されると悲しい…。今から挫けそう…。
「まっ、冗談はおいといてよ、どうした?お前がここに女連れてくるなんてめずらしーじゃんか」
定員さんは煙草に火をつけフーッと吐き出した。
「別に、ちょっとな、それより煙草吸うの止めてくんない?」
「あぁ、そうだったお前煙草嫌いだったな」
ははっと笑いながら定員さんは煙草を灰皿に押し込んだ。
橋本くん、煙草嫌いなんだ…。また新しい発見だ!
「んで?今日はどうしたんだ?またピアス選びに来たのか?」
「いや、今日は三日月のを見にきた」
そう言って私の背中に手を回す橋本くん。
うひゃー橋本くんの手が背中に!!
ってちょっと待ったー!!
私にって、こんな高そうなもの…。
絶対もらえない!
「三日月ここのもの結構安いから普通に買えるぞ」
「ふぇっ!?そうなの?」
「おう!俺の店は安いのが売りだからな!」
ニッと笑う定員さんの笑顔は子供っぽくて優しい印象だった。