恥ずかしがり屋な君と無自覚な私
「は、橋本くん!」
三日月は大きな目をこれでもかってくらい見開いた。
そんな驚くようなことでもないと思うけど。
「三日月、お前何してんの?」
ナンパされてるのなんか見たら一発でわかるんだけどな。
「何って!…」
そう言って黙り込んだ三日月。
なんなんだ?
普通わかるだろナンパされてることくらい。
「三日月?」
そう聞いたらこんどは2人組の男の1人が話しかけてきた。
「おい、お前なんだよ?この子は俺たちと一緒に遊ぶんだよ!」
「ち、違うもん!私は橋本くんと遊ぶんだもん!」
やっぱ三日月って面白い…。
まさかナンパ相手に必死で言うとか驚いた。
「ってことはあんたらが勝手に言ってるだけだろ?行くぞ三日月」
そう手を掴んで言うと、三日月は
「へっ?」
と、なんとも言えないまぬけな声を出した。
なんつーかやっぱ危なっかしい…。
なんとなくそう思いながら歩き出すと男に肩を掴まれた。
「おい、待てよ!」
「何?」
こっちは朝からめんどくさいのにあって腹立ってんだけど。
そう思いながら男を睨みつけると2人組は俺たちと反対方向に逃げていった。
めちゃくちゃムカつく。