恥ずかしがり屋な君と無自覚な私


着いた場所は古ぼけた小さなアクセサリー店。


俺のお気に入りの店。


三日月が中に入ると“きれい”と口にした三日月。


そんな言葉を聞いて、柄にもなく嬉しくなった。


こいつの一言で俺は嬉しくなる。よくわかんねーけど。


そう思いながらキョロキョロと見渡している三日月を見つめた。


「いらっしゃいって彩翔じゃねーか。そこの可愛い嬢ちゃんはおめーのこれか?」


いきなり現れたと思ったら変なことを言い出したここの店長の神崎さん。


しかも小指を立てて俺を見るからびっくりした。


「ちげーよ」

んなわけねーだろ。


そう言うと、神崎さんは煙草に火をつけて吐き出しながら“冗談だ…”と口にした。


しかも俺が煙草嫌いなのわかってるくせに…。


「煙草吸うの止めてくんない?」


「あぁ、そうだったお前煙草嫌いだったな」


ははっと笑う神崎さん。


本当、この人って良くわかんねー人だな。



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