桜の花びら
菜々子が、もう小さい頃からずっと通っていた並木道。

この瞬間のために、一年間準備してきている並木たち。

菜々子は、夏の新緑のときも、秋の落ち葉のときも、灰色に目立たない冬のときも、ずっとずっと、この並木道を歩くのが大好きだった。

一年に一度、晴れの日に見せてくれる美しく可憐な姿。

その姿を、きっとまた見せてくれる、そのために今一生懸命準備してくれている。そう思うだけで、この並木たちが、どうしようもなく愛おしくなる。
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