人を愛することは、幸せを生み不幸も生む。
結局…
俺は3年3組となった。
教室のドアを引き、クラスメンバー表を見て、自分と他のメンバーの名前をチェックする。
「まぢかょ…なんこれ…。」
小声で言ったが、俺と同じ気持ちの人が多数いるだろう……。
表情でわかった。
クラスの大半が、メガネをかけた秀才君、春だと言うのに汗だくな、太った子、アニメの話で盛り上がるオタク系の子だった……。
(このクラスじゃ最後の中学校生活楽しめそーにねーよ!恋もできねーし、俺のやりたいことできねーだろ…!!まぁ勉強の邪魔はされずにすむけどよ……。)
このクラスに納得いかず力強く拳を握った…。
ただ…唯一、嬉しかったことは同じサッカー部で仲の良い石井と同じクラスになれたことだ。
『おっかー!!クラス一緒やん!よろしく。』
満面の笑みを浮かべて近づいてくる……。
今では、学校中のみんなが俺のことを【おっかー】と呼んでる。石井が俺の本名【岡 知也】の【岡】からとって名付けた!!
最初は違和感あったが今では気にいってるニックネームだ。
『クラスメンバーさ…ひどくない??』
やっぱり、こいつとは気が合うと改めて思う。
「やろっ!ありえんやろこんなん!!」
『大嶋津と森川と宮本と松中は5組らしいぜ!!』
「まぢぃ…俺も5組が良かったし…。」
他のクラスの連中を羨ましがり自分のクラスを批判していると…。
担任が入ってきた。
(なるほどね…。)
俺はこのクラスのメンバーが、なぜ、ダメなメンバーかが、わかった…。
「おい!石井!!」
自己紹介をしている担任にばれないよう、小声で話し掛ける。
『なん??』
「なんで、このクラスがクズなのかわかったぜ!」
『まぢ!?なんで?』
「担任の郡山って去年、3年の先輩に殴られたやん!!だけん、クラスに大人しい子ばっか選んどるったい!」
『あー!』
石井が答える前に、隣に座ってる女の子が話しに入ってきた。
『なるほどね!郡山先生はうちの、部活の顧問の先生なんだけど…このクラスの理由が、そうだなんて気づかなかったよ!』
(この子の声好き…。)
俺は、一人で顔を赤く染めていた…。
「普通に考えたら、わかるやん!?」
『へぇ〜。』
簡単に流された……。
強がったせいで、声が聞きづらくなった…。
結局、その日はもう、声は聞けなかった。