1ページの恋
おいしぃ…?


『…おいしくない』

彼女が呟いた。


『普通俺が食う前に言うか…?』


俺は笑って口に入れた。


『おいしくない…な』


国民の休日。

あまりにも暇すぎてカップ麺のアレンジを始めた彼女は俺にまで味見をさせている。


『つーかさ…ソースとマヨネーズはねぇだろ…』


とんこつにそれは絶対にマズい。食わなくてもわかる。


『わかんないしょやぁ~』


彼女が少しむくれた。

いや…わかれ。そう言いたかったが、鼻歌唄ってノリノリなんだも言えねーわな。



そんなこと考えてると変な声が聞こえた。


『ん――――!?』



『なしたの…?』


聞かなくてもわかったんだが…


『…ばづぃ……』



『だから言ったろ…てか、バルサミコ酢も入れたわけ…?』


コクコクと彼女はうなずいた。


さすがに焼きそば風味バルサミコ酢仕立てのとんこつラーメンは食えないので流しの三角コーナーに捨てて、彼女にコーラを持って行った。


『ほら』


『あーとぉ…』


彼女は一気に飲み干した。


『…して…?』


彼女が小さく言った。


『なに?』


『ちぅ…して…?』


彼女は恥ずかしそうに言った。


俺は彼女の唇に軽く自分のを合わせた。


『おいしぃ…?』



彼女が聞いた。


『俺はコーラ嫌いなんだよ…知ってんだろ?』



わざとイジワルっぽく言った。



『でも…』


俺はもう一度口づけた。


『おいしくなくはない』


俺がそういうと彼女は俺に抱きついた。そして…



『素直においしぃって言ってよ…』



そうして、俺にキスをした。



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