KISS AND SAY GOOD-BYE
俺の4才年上の姉貴、黄 彩英(ファン・チェヨン)、通称名は、桧山 彩子(ヒヤマ アヤコ)。
現在、A学院大学3回生の21才だ。
9月21日生まれの乙女座だが、彼氏の前以外では全然乙女じゃ無い。
料理は苦手だし、好きなスポーツはプロレスだったり、ファッション雑誌を見ることなんか殆ど無いが、数学の専門書はよく見ている。
趣味が花札と麻雀で、サークルはカクテルサークルとか言う訳のわからない飲み会ばかりするサークルだ。
しかし、恋人の 牟 哲壽(モ・チョルス)氏の前では、凄くかわいらしい女性を演じているみたいだ。
自然と彼の前ではおしとやかになるのか、猫を被っているのか、兎に角別人だ。
牟 哲壽氏(モ・チョルス)さんと、うちのアヤ姉は、何と二人とも同じ誕生日で、毎年一緒にパーティをしている。
哲壽(チョルス)さんは、今年で28才になる。
アヤ姉より、7才年上である。
彼は、高校を卒業してから10年間、ずっとうちの店で働いている。
アボジ(親父)の兄で、俺の叔父さんに当たる黄 大元(ファン・テウォン)氏の 愛弟子であり、いずれは跡目にとも考えている。
と言うのも、テウォン叔父さんと奥さんのチョンミ叔母さんの間には息子が一人居るが、料理に全く興味がなく、今はアメリカのオハイオで農業の勉強をしているそうだ。
黄 大祐(ファン・テウ)と言う25才だ。
いつ帰って来るかも分からないそうだ。
俺も、最後にテウ兄に会ってから3年経つが、その間一度も帰って来ていない。
まぁ、アヤ姉とチョルス氏が一緒になれば問題は解決するわけだが。
いつか、アヤ姉の正体を知ったチョルス氏が逃げ出さないか、それだけが心配である。
『リュウ、何一人でぶつぶつ言ってるの!?
それにしても、あのヒマワリTVの社長が、あんたと二人っきりで初日の出なんて、よく許してくれたわね?』
「おれさぁ、信用有るし、性格良いし、ボディーガードとしても優秀だからね。
なんたって、この秋にあった極真空手の全国大会で見事準優勝した腕前だから。」
『あら、優勝じゃあ無いんだ!』
「優勝は、香川県の高松道場の広瀬 明って24才の道場指導員が持っていった。
って言うか、来年は俺が勝つ!
今年は、美華が応援に来れなかったから力が入らなかったんだよ。
だから、来年こそは美華に応援してもらって優勝して見せるさ。
それに、バイトが忙しくって、殆ど練習出来てなかったんだから。
それでも準優勝なんだから、大したもんだろう!?」
『まぁ、そう言うことにしといてあげる。
アッ♪モシモシ♪うん♪準備できてますわ。
それじゃ角のコンビニの駐車場で会いましょう。
うん……うん……分かった。直ぐ行くからね。
リュウ、チョルスさんが迎えに来たから行ってくるからね。
クドイようだけど、あんたは余計な事言わないようにね。』
「分かった。分かった。早く行っておいで。
アヤ姉、ちゃんと避妊しろよ!」
『リュウ、あんた殺すわよ!
覚えてなさい!』
「へ~い!」