KISS AND SAY GOOD-BYE





高山社長から、韓国の芸能界情報をちょこっと聞いたあとは、練習生と一緒に食事をすることになった。



一度に全員で入るのは難しいので、20人ずつが交代で、少し離れてはいるけど会社から5分程行ったところに在るジャージャー麺屋さんへと向かった。



俺達も一緒に行った時に聞いた話だが、練習生達は毎日昼食はジャージャー麺だそうだ。



この店に毎日来ているのだとか。



この昼食代は、毎日会社から出るんだそうだ。



朝と夜は自炊生活で、決められた金額の中で遣り繰りしなければいけない。



毎日ジャージャー麺ばかりを食べるのも辛いが、プライバシーの殆ど無い寮生活と言うのも大変だろう。



全員の食事が終わり、本社ビル4階のレッスンルームで、1期生の中から選抜された日本へ留学する10名がレッスンしている所も見に行った。



「お疲れさまでした。

選抜された君達は、3日後には日本に行きます。

韓国でのレッスンは、今日が最後となります。

明日・明後日の2日間で、それぞれ日本へ行く準備をしてください。

荷造りした物は、この本社ビル別館の配送車センター出入り口横に在る第3配送ルームに持っていって下さい。

日本では、布団から家電まで生活に必要な物は、全て完備していますので、荷物は自身の必要な着替えとか勉強道具、多少の趣味のものや身だしなみに必要な物等、最小限にとどめておいてください。

分かりましたか?」



『「『ハイ!』」』



「それから、3日後の3月31日は、朝10時にここを出発しますので、それまでに今まで使用してきた寮の部屋の清掃も終わらせて本館ロビーに30分前迄には集合しておくこと!

遅れて来るものに関しては、待ちませんので置いていきます。

行きそびれたくなければ、時間厳守で!

以上です。

解散!」



『お疲れさまでした。』



『ねぇリュウ、高山社長って厳しすぎない!?

少しくらい遅れても待ってくれたら良いのに……』



「なぁ美華、これから芸能界に入って頑張っていこうって人間が、時間も守れないってどうする!?

もし、生放送なら!?

収録にスタッフや先輩を待たす新人歌手とかってどう思う!?って事だよ。」



『そっかぁ。

だよねぇ。

だから、さっきの社長の説明の時も誰も文句言わなかったのね。』



「そう言うこと!

もし仮に、さっきの説明中に文句でも言う人が居たら、その人は留学を取り消されてたかも。」



『だよねぇ。

さてと、高山社長、これからどうするんですか?』



「取り敢えず、私の実家に行こうか。

君達の荷物も降ろして、今日はユックリしましょう。

夜には美味しい所に連れていってあげるよ。」



『本当ですか!?

やったぁ~!

リュウ、晩御飯まで何しよっかぁ~!?』



「良かったらだけど、ソウル市内のど真ん中で、昔の李氏朝鮮時代に王族が住んでいた所が在るんだけど見に行くかい!?

って、もう閉館の時間が迫っているから無理かぁ……

今日は、社長の家でチャンス君とハヌルちゃんと一緒に遊ぼうよ。」



『ハヌルちゃんかぁ…

ハヌルちゃんって、今朝までリュウのこと【おじちゃん】とかって言ってたかと思うと、いつのまにか【抱っこして!】なんて言い出すし!』



「抱っこしてじゃなくて、おんぶしてだろう。

甘えてきてるだけじゃないか!」



『子供だろうと、年上だろうと、リュウには他の女が近づくのは嫌なの。』



「分かったよ。

俺からも近づかないように気を付けるよ。」



『絶対だかんね!』



美華って、かなりのやきもちやきだ。



< 116 / 245 >

この作品をシェア

pagetop