KISS AND SAY GOOD-BYE
2階に行くと、チャンス君の部屋ではリュウとハヌルちゃんがチャンス君の弾くギターの音色に聴きいっていた。
『リュウ、ご飯食べに行くから皆降りてきてだって。』
「オッ美華、起きたんだ!」
『だって、昨日の夜、嬉しすぎて殆ど寝れてなかったんだもん!
でも、起こしてくれたら良かったのに……
折角の韓国初日、大事な時間なんだから!』
「ゴメンゴメン!
あまりにも気持ち良さそうに寝てたもんだから、起こすのが可愛そうになって!
美華の寝息を30分くらい聴いていたよ。」
『もうイジワル!』
「さぁてチャンス君、ハヌルちゃん、晩御飯食べに行くってよ!」
と、部屋の外から顔だけ中に突っ込んで二人を呼んだ。
『「ハーイ!」』
と言って、二人も俺達に続いて階段を降りてきた。
「社長、お待たせしました。」
『これから本場韓国の焼肉屋さんに連れていってあげるよ。』
「うわぁ~、嬉しい。
私、1度行ってみたかったんですよ。
テレビでは良く見るんですけど、私が行ったことがあるのは桧山君の実家の梨泰院(イテウォン)しか無いんです。」
『そうですか!
じゃあ、ハングル庭園も観たことが無いんですね!?』
「ハングル庭園ですか!?
それってどんな庭園なんですか?」
『日本庭園と良く似ているんだが、日本庭園よりも色んな草花もあって滝が流れて庭の中に川が流れて色鮮やかなんだよ。』
「そうなんですか!
じゃあ、写真に撮って、後で絵を描きたいなぁ。」
『楽しみにしててね!
これから行く焼肉屋さんの庭には、ソウル市内でも有数のハングル庭園が在る焼肉屋さんだから。
料理も美味しいし、きっと満足すると思うよ。』
「高山社長、そこってもしかして松園(ソンウォン)ですか?」
『おや!?
桧山君は知っているのかい!?』
「はい。
アボジ(親父)に何度か連れていって貰ったことが有ります。
カルビや牛フィレがおいしかったのを覚えています。」
『そうか、そうか。
あそこの庭園は、その名の通り松が綺麗な庭園なんだが、この時期だけ色々な草木が花をつけて、夜にはそれがライトアップされて綺麗なんだよ。
食通も唸らせる料理と、庭園の行き届いた美しさ、それに従業員もきちんと教育されている穴場中の穴場のお店なんだよ。』
と、話を聴いているだけで美華は楽しそうに目をキラキラさせていた。
表に停まっている車に乗り込んで、俺達と社長の家族で松園(ソンウォン)へと車は走り出した。