KISS AND SAY GOOD-BYE
『リュウ、オハヨー!
おんなじクラスに成れたね。
そちらの彼は?』
「オハヨー美華!
こいつは俺の小学生の時からの腐れ縁の吉川!
親父さんが、陶芸家なんだ!
吉川、彼女は美華、滝本 美華って言って、デザイン科からの編入なんだ。
俺の恋人だから、手出すなよ!」
『初めまして滝本さん。
俺は天才サッカー少年の吉川って言うんだ!
よろしくな!』
『初めまして滝本です。
ヨロシクです。』
「彼の実家は、【江戸彩焼き本家窯元】なんだ。
土捻り体験なんかもやっていルし、絵付けなんかも出来るんだぜ!」
『絵付け!?
じゃあ、うちの科に居た陶子(とうこ)チャンとおんなじ白金台のところで工房構えてやってるの?』
『いいや、俺ん家は北新宿の柏木小学校と神田川の間くらいの所にアトリエが在るんだ。
俺と桧山は、その柏木小学校の時からの同級生なんだ。
まぁ窯は、ちょっと離れた山ん中で、陶子ん家の分家とは同じ敷地内で遣ってるんだ。
うちの親父と、陶子ん家の親父さんは兄弟でさ、昔は仲が良かったんだけど、陶子の親父さんが一目惚れした女性をうちの親父が横からかっ拐っていったのが発端で仲違いして、未だに犬猿の仲だよ。
今でも、陶子の親父さんが、うちのお袋に未練が有るかどうかは知らないけれどな!』
『…スゴッ!
前に陶子ん処で絵付けしたことあるよ。
土捻りはまだやったことがないけどね。
陶子と悪ふざけして、古伊万里の丸皿の写真を見ながら、【贋作作るぞ!】なんて描き写していたけど、完成したら全然似てなかったんだよねぇ~♪』
「美華、それ今度見せてな!」
『は~い!』
「オッ!吉川、あれってマコチャンじゃねぇ!?」
『そうだな!
お~い!マコチャ~ン!』
『桧山君と吉川君と……、え~っと!?』
『初めまして、滝本です。
デザイン科からの編入です。』
『宜しくです。
平井 誠(ヒライ マコト)です。
建築科からの編入なんです。』
「マコチャン、久しぶり!
彼女は、俺の恋人。
美華、マコチャンは、淀橋第四小学校から西新宿中学に上がってきたときに、俺達と同じクラスになったんだ。
彼の実家は、平井建設って言って、海外でも事業展開している凄い会社なんだ。」
『僕のお父さんは、中国の大連って処で橋を造ったり、上海で造船所やホテルの建設も中国と合同で遣っていて、その時知り合ったのが僕のお母さんなんだ。
だから、僕は中国と日本のハーフなんだ。』
『だけど、マコチャンは日本語しかダメなんだよね!
マコチャンのお袋さんが日本語を上手に話すから、全然覚えなかったんだって!』
「マコチャンの家には凄くデカイ水槽が幾つもあって、見たこともないような熱帯魚や羽がはえたやつとか大きな魚が泳いでいるんだ。」
『見たことないって、あれはアロワナだよ。
オレンジアロワナ!
羽が生えているのは、バタフライフィッシュって言うんだよ。』
実は彼、熱帯魚って言うか、魚オタクなのである。
魚の話になると止まらなくなるのを忘れていたよ。