KISS AND SAY GOOD-BYE





9月27日の土曜日、カー・パラダイスの河田店長と共に新井社長が我が家に遣ってきた。



『ゴメンください。

カー・パラダイスでございます。

お車の納車にあがりました。』



『おや、新井社長、お久しぶりですね。』



『桧山先生、その節は色々とお世話になりました。』



『そんな!

お世話って言うほど大したことしてないですよ。

息子呼びますね。

隆一、車が来たぞ!』



「は~い!

お早う御座います新井社長。

わざわざすみません。」



『お待たせしましたね。

それでは、こちらが車検証と車のキーです。

表に車は停めてますから。』



「それじゃあ、見てきます。」



『お気を付けて。』



綺麗に洗車された、殆どキズの無いセイバーが停車してあった。



ナンバープレートは、なかなか覚えやすいゾロ目に変えてくれていた。



ドアを開けてエンジンをかけると、燃料のインジケータはF(満タン)を指していた。



すぐに邪魔に成らないように路上から我が家の駐車場に車を停め直してから家に戻った。



「社長、それでは残金をお持ちしますから、少しお待ちください。」



と言って、2階にあがって残金の50万円を持って降りた。



『それじゃあ、確かに!

これは、領収証で御座います。』



「はい、どうもありがとうございました。」



『それでは、半年後に1年点検が御座いますからお待ちしております。』



その後も、うちの親父と新井社長は楽しそうに談笑していたが、俺は免許証を確認して財布にそれを仕舞ってから、財布と携帯電話を数枚のミュージックCDと共にセカンドバッグに詰め込んで駐車場に出た。



車の中から美華に電話をした。



「オハヨ~!」



『リュウ、お早う。

声がご機嫌なんだけど、何か良い事でも有ったの?』



「有ったよ。

美華に会いたいなぁ!

今、何してる?」



『特に何も…。

たまには息抜きにどっか行きたいわ!』



「じゃあ、デートしようぜ!」



『本当に!?

じゃあ、準備するから11時にうちに迎えに来てね。』



「了解!

海にでも行こうか!?」



『良いわね!

じゃあまた後で!』



電話を切ってから、俺は車を運転して近くのコンビニに寄った。



そこでジュースを買ってからカー用品店に向かい、車の芳香剤やジュースホルダー、小さな転ばないごみ箱やハンドルカバー等を買った。



それらを車の中にセットしてから、美華の家へと向かった。



約束の10分前に美華ん家に到着した。



美華ん家の大きな門の手前に停車して、美華の携帯にメールした。



(今、家の前に着いたよ。)



直ぐに美華から返信が。



(後3分待っててね。)




(了解でーす!)



そして、本当に丁度3分後に美華が出てきた。



そして、キョロキョロと俺のバイクを探している。



俺は車のウィンドウを開けて



「美華、こっちこっち!」



『リュウ
どうしたの?』



「免許取って車買った。

今日納車されてきたんだ!」



『カッコいいし、渋いわねぇ。

真っ黒なボディもイケてるわ!』



「ちょっと待ってて。」



と言って、車から降りた俺は、助手席側に廻ってドアを開けて



「どうぞ!」



と美華を招き入れた。



『ありがとう!』



と言いながら、キチンと車に乗り込んだのを確認してから、優しくドアを閉めて、運転席に戻った。



「それじゃあ、シートベルトしてね。」



『は~い!』



と言って、シートベルトをしていた。



俺もシートベルトをしてから、



「海見に向けて出発!」



『出発!出発!』




動き出した車!



初めての美華との車デートはちょっと緊張する。



走り出して数分後、



『ところで車の免許っていつの間に取ったの!?』



と聞いてきた。



俺は……


< 146 / 245 >

この作品をシェア

pagetop