KISS AND SAY GOOD-BYE





「嘘ついててゴメン!」



俺は、運転しながらも唐突に美華に謝った。



『嘘ついたって、どういう事よ!?』



「実は、今年は土用稽古に行かなかったんだ!

土用稽古には、行くつもりで準備してたんだけど、自動車教習所の最短合宿コースに申し込んだ時にイッパイだったんで、キャンセル待ちを入れてたんだ。

それが、18日からの2週間のコースに1名の空きが出来たから入校されますか!?って連絡がぎりぎりの前日に有ったんだ。

それで、ハイ行きます!って訳で慌ただしく免許合宿に行ってきたんだ。」



『それは良いとして、どうしてそれを隠したり嘘ついたりしたの!?』



「美華を驚かそうと思って…。」



『そっかぁ、サプライズね!

分かったわ。

嘘ついた事は許してあげる。』



「ハァ~、良かったぁ~!」



『ちょっとちょっと、ちゃんと前みて運転してよ!』



「おっと!

ゴメンゴメン!」



思わずため息をつきながら、運転中に美華に抱き付きそうになったよ。



『その代わり、今日は美味しいランチを御馳走してよ?』



「OK!

お台場海浜公園に行って、その後レストランで海を見ながらランチを食べような! 」



『 お台場海浜公園ね。

じゃあ、途中コンビニに寄ってくれる!? 』



「ジュースなら買ってるよ。」



『そうじゃなくて、使い捨てのカメラ買おうかなぁって思って!』



「それなら大丈夫だよ。

デジカメ持ってきたから。

後でプリントしてあげるから。」



『本当!

じゃあ、このまま目指せレインボーブリッジ!』



テンション高いなぁ~♪



美華の機嫌も良くなったし、良かった良かった!



「ところでさぁ、最近全然新星MUSIC行ってないよな俺達。」



『だよねぇ。

後で寄ってみる!?』



「そうするか。

NSフーズが発足して、一旦は企画室から手が離れたから、後はNSフーズの新規スタッフが引き継いだとはいえ、気になるしなぁ!」



『高山社長にも久しく会ってないし。』



「高山社長は、今韓国の本社でしょう!

9月から本社で第3期の留学生の一次選考もあるし、養成所からのメジャーデビューグループが有るから、帰らなきゃいけないって言ってたよ。」



『そうだったわ!

どんなグループがデビューするのかしら!?』



「19才の男性2人のデュオユニットと、男性2人女性1人の3人組のメジャーデビューって聴いたけど。」



『観てみたいわねぇ。』



「そのうち会えるよ。

デビューは韓国でするけど、1年後に日本でも活動をさせるつもりなんだって社長が言ってたから。」



『そうなんだ。

いつの間に社長とそんな話したの?』



「…正月に…美華が初日の出から帰って…」



『…あぁ~、あの時…。』



何か、気まずいなぁ。



また思い出したよ。



あえて明るい声で



「美華に振られてからさぁ、バイクを走らせて港区に建設中だったNSフーズの現場に行ったんだ。

そこで社長とバッタリ会って、おうちに招かれて蟹尽くしのご馳走を頂きながら、色んな話をしたんだけど、その時に新ユニットなんかの話しも出たんだ。」



『私も蟹尽くしを食べながらお話したかったなぁ。

あぁ~あ、帰るんじゃ無かった。

リュウ、今日は蟹尽くしのランチを奢ってよね!』



ハハハ、そんなんで機嫌が良くなるなら、お安いご用だ



と、口には出さずに心んなかで呟いてから、ニコッと笑顔で



「了解!

蟹食べ行こ~う♪」



『歌っちゃうかなぁ~!

フフフ!』



お台場海浜公園で遊んで

海をバックに写真を撮って

俺の車と一緒に写真も撮って

海の見える蟹料理専門店に行って

蟹御膳のランチコースを頼んで

お腹イッパイ食べて

そんときの料理なんかも写真に撮って

新星MUSICで、皆に会って近況報告なんかもして

無事に美華ん家迄送り届けてから帰宅した。



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