KISS AND SAY GOOD-BYE
週明け、出来上がった写真を持って登校した。
クラスで、美華やいつものメンバーに写真を見せていたら、
『リュウ、これって前に行ったシーパラダイスの時のも有るんだ!?』
「焼き増しするの忘れてたからついでにお願いしたんだ。」
『桧山、何見てんの!?』
「美華とデートした時の写真だよ。」
『カッコいいバイクに乗ってんなぁ~!
このタンクのところの龍のデザインなんか最高だな!』
「中古のハーレーを分解して、1から俺が組むたてたんだぜ!
因みに、その龍のペイントは美華の作品なんだ。
エアーブラシで美華が描いたのを俺が焼き付けしたんだ。」
吉川が写真を見ていると、クラスの男子達がドンドン集まってきた。
『桧山、これってお前の車!?』
「そうだよ。
HONDAの逆輸入車のセイバー、別名アキュラ!」
『カッコいいなぁ。
この年でセダンかよ?
渋すぎるぜ!』
「走り屋みたいな車は、あんまり好きじゃ無いんだ。」
『メチャクチャ綺麗だけど新車!?』
「いいや、5年落ちだよ。」
『マジで!
でも高そうだな!
200万円くらいすんのか?』
『おいおい、250万円はするだろう!』
「ハハハ!
最新のカーナビとCDプレイアー、アルミホイルも履いて諸経費、手続き費用、税金込みで丁度100万円だよ。」
『えぇ~!
そしたら車体価格は50万円くらいになっちゃうじゃないか!』
「知り合いの店で買ったんだ!
だから安くしてくれたみたいだよ。」
『どこだよ!?
俺にも紹介してくれ!』
「アッ……!」
『どうしたんだ!?』
「いや、何でもない。
お店はな、杉並区のカー・パラダイス本店って言って首都高速4号線と環八の交差点の角に在るところだよ。
オーナーの新井社長って人に桧山の紹介って言えば、良いようにしてくれるはずだよ。
そのお店は、絶対に欲しい車が手に入るお店だから。
値段も、交渉次第では俺みたいに安く買えちゃうよ。」
『お前の名前を出したくらいで安くなるのかよ?』
「だって、社長が言ってたもん。
騙されたと思って行ってみる価値あるよ。」
『カー・パラダイス本店の新井社長だな。
ちゃんとメモったぞ!』
「ところで高木、お前免許は?」
『後は卒業検定と免許センターの学科だけだよ。』
よく回りを見渡すと、殆どの男子達は同じようにメモっていた。
進学クラスとは言え、工業科の奴等は車やバイクに目がないからなぁ~!
って、女子達もメモってるのかよ。
これで何人が買いに行くか、逆に楽しみになっちゃうじゃないか!
まんまと新井社長の策に引っ掛かってるよオレ!