KISS AND SAY GOOD-BYE





翌日も、朝7時半に家を出て、3教科の試験を受けてから帰宅して、明日の為の試験勉強をしている。



一人で早目の晩御飯を食べて、夜8時半に家を出た。




◇◆□■◇◆□■◇◆□■◇◆□■




私は、木下聖美。



ママが経営しているビューティパーラ【lovely hair】は、都内に3店舗、関東一円に全15店舗ある美容室で、本店は銀座のど真ん中に在るんだ。



私は、その本店でマジ頑張ってる。



今日も、朝から予約のお客様が次々と来店され、一流のスタッフが対応していく。



私を指名してくれるお客様も、最近では増えてきているんだよ。



ランチを取れずに1日が終わることも有るんだから。



本店には、12人のスタッフがいるが、その内の4人はまだカットも出来ない見習いである。



実質、メインで動いているのは8人!



今日は珍しくランチも取れたし、夜の8時過ぎには店内も落ち着いてきた。



見習いのスタッフが、カラーリングの時に使った刷毛やパーマの時に使うロットなんかを綺麗に洗って片付け整頓したり、カットして落ちた髪の毛も掃き終わって、メインの美容師たちが帰り支度を始めた頃、店の前に一台の車が入ってきた。



時刻はもうすぐ9時!



閉店の時間なので、スタッフ達は一瞬嫌な顔をしたが、




『心配しないで!

私の知り合いだから。

皆さんは、もうあがって良いですよ。

お疲れさま。』



みんなが口々に『お疲れさま。お先です。』と言いながら出ていくのと入れ換えに桧山くんが入ってきた。



『いらっしゃい桧山くん!』



「こんばんは!

って言うか、聖美さん酷いですよ。

姉貴を通して頼んできたら、俺が断れないの知ってるくせに!」



『だから、彩に頼んだんじゃない!

大会まで1ヶ月切って仕舞ったのに、カットモデルが見付からなくて焦ってた時に、たまたま信号待ちしていた君を見つけてさぁ、桧山くんと別れたあと直ぐに彩に連絡入れたんだから!』



「それで、何をするんですか?」



『先ずは、桧山くんの髪の毛に艶と潤いを取り戻す作業をするんだけど、これを1日置きにやって、サラサラな髪の毛になってきたら、次はカラーリング!

少しアッシュ系にしたいんだけど大丈夫かしら?』



「お任せします。」



『そう、良かった!

そして、カットしてパーマを充てて毛先を揃えて、もとに戻す。

そのあと、1週間後にもう一度ヘアケアを施してからさっきの手順で違うアレンジも試してみたいわ。

短期間に2回カラーリングとパーマをするから、出来るだけ髪の毛に優しいのを選んでやるから!

それと平行してマネキンの練習用のでも遣って手順良く遣っておくから。』



「それで、大会当日は何時に…。」



『朝7時にここに来て欲しいんだけど、大丈夫よね!』



「問題無いです。

それじゃあ、遣るからには負けたくないので、優勝目指して頑張りましょう。」



『そうね!

それじゃあ、早速こちらのイスに座ってくれる。』



「はい。」



『偉い。

ワックスも整髪料も何も付けてないわね。』



「一応、姉貴に何もせずに行けって言われましたんで!」



『ハハハ、彩がエライ!

それじゃあ、軽くブラッシングするね。

髪の毛の絡まりや解れを整えるから。

ちょっと濡らすわね。

これは、プレーンリンスって言って、シャンプー前に濡らして軽く濯ぐことによって、シャンプーがしやすくなるんだ。

イスを倒すね。』



「はい。」



『熱くない?』



「大丈夫です。」



『次にシャンプーするよ。

1回目は、髪の毛の皮脂による汚れを軽く洗い流すから。

もう一度シャンプーするわよ。

これって、ツーシャンって言ってね、2回目は確りと頭皮の汚れも落として、髪の毛もスッキリ皮脂汚れを落とすために念入りに遣るから。

どう?気持ちいいでしょ!?』



「はい。

って言うか、俺の顔にオッパイ当たってますよ。」



『気にしない気にしない!

サービスよ!』



「…………。」



< 188 / 245 >

この作品をシェア

pagetop