KISS AND SAY GOOD-BYE
ゴールデンウィークの忙しさが嘘のように、6月に入ると雑用も減ってきて、落ち着いた学生生活とバイト生活の毎日。
俺と美華は、金曜日の大学の講義終わりに合流して、京都への2泊3日の小旅行に来ている。
勿論バイト先には、きちんと何週間も前からお願いして、人員調整も出来ているので大丈夫。
宿泊先のホテル日航プリンセス京都に、到着したのが夜の7時だ。
最初は、ザ・リッツ・カールトン京都にと言ったのだが、
『あそこは高いから駄目!』
と、しっかり者の美華に言われ、この日航プリンセス京都になったのだ。
たしかに、リッツ・カールトンなら、1日1人10万円はするだろうから、2人で2泊3日なら宿泊代だけで40万円は越えちゃう。
日航プリンセス京都なら、2人で2泊3日で7万円くらいだから、かなりリーズナブルだ。
俺が気を使って、金持ちの美華に併せて高価なホテルにしたけど、美華にしてみれば、寝るだけなら布団さえ有れば何処でもたいして変わらないみたいだ。
チェックインを済ませて、一番安いスーペリア ツインルームに案内された。
「なぁ美華、本当にこの程度の部屋で良いの?」
『当然でしょ!!
まだまだ学生の私達には、これでも良すぎるくらいよ。』
「エグゼクティブスイートなら、夜景も綺麗だし、部屋だってもっと広いんだよ。」
『分かってるわよ、そんなこと!
でもねぇ、広い部屋より落ち着いたこれくらいの広さの方が、私は好きよ。
それにねぇ、そんな無駄遣いしないで。
ここのエグゼクティブスイートルームなら、リッツ・カールトンと同じくらい高いんだから。
それより、美味しい物を食べる方が良いわ。』
「そっかぁ。わかった。
じゃあ、着替えたらなんか食べに行こうか。」
『だね。
おなかすいちゃたぁ。』
と言うわけで、俺達は2階にある鉄板焼きの【豊園】にやって来た。
カウンターに座り注文をすると、目の前の大きな鉄板の上でステーキやシーフード、野菜等がカッコいいパフォーマンスと共に調理されていく。
1時間かけて、ゆっくり会話をしながらの食事は久しぶりだ。
バイト中は、社食で10分ほどで食べ終わり、またすぐにバイトに戻ると言うのが、いつもの常だから。
部屋に戻ったら、ゆっくりとお湯に浸かって、二人でベットに潜り込んだ。