KISS AND SAY GOOD-BYE
岸に戻ると、大変な事になっていた。
『桧山君、美華ちゃん、ちょうど良かった。
うちのチャンスが居なくなったんだよ。
見なかったかい!?』
「いいえ、私達は沖で遊んでいたので、見ていないです。
ハヌルちゃんと一緒に遊んでいたのではないですか!?」
『それが、チャンスがハヌルをこっちに連れて来てから、トイレに行って来るって言ったまま、帰って来ないんだよ。
それで、トイレまで探しに行って来たけど、居なくって…、何処かその辺で遊んでんじゃないかと、探していたところなんだよ。』
「じゃあ、もう一度探してみましょう。
ひょっとしたら、売店かシャワー室かもしれないし、泳いでいるかもしれませんから。」
『そうだよな。
皆もすまないが手分けして探して貰えないですか!?』
「勿論ですよ!
川田、松山、柘植、成山、お前達も頼むな!」
『「OK!」』
全員総出でチャンス君の捜索をした。
しかし、夕方を過ぎて、19時を過ぎてもチャンス君は見つからない。
ひょっとしたら溺れたのかもと、海に潜ってみたり、海面を探してみたが、手掛かり一つ無かった。
高山社長は、今にも倒れそうな奥さんの手を握って励ましていたが、高山社長自身も真っ青な顔をしている。
『賢主(ヒョンジュ)君、警察の人達も探してくれているし、ここは一旦ホテルに戻って連絡を待ってたほうが良いよ!
奥さんも具合悪そうだし。
私達も、もう一度探してみるから。
見つかり次第、君の携帯に電話するからな!』
と、美華のお父さんが高山ご夫妻に話していた。
美華のママが、高山ご夫妻と共に、ビーチの直ぐ横に在るホテルに向かった。
残った俺達は、もう一度探しにいき、駐車場までやって来た。
そこには、チャンス君が履いていたビーチサンダルの片方だけが落ちていた。
もしかして、誘拐!?
そう直感的に思って仕舞った。
だとしたら、一体誰が!?
目的は金か!?
俺は、そのビーチサンダルを拾い、ホテルにいる高山ご夫妻の元へ向かった。
1階のエントランスから広がる、ホールの隅に設けられている応接セットに座っていた。
近づいて行くと、ハヌルちゃんが、
『アッ、チャンスオッパのサンダルだ!』
と叫んだ。
やっぱり間違い無いかぁ…!