KISS AND SAY GOOD-BYE
 



「ハヌルちゃん、このサンダルはお兄ちゃんので間違い無いんだね!?」


『そうよ。

見て!

オッパ(お兄ちゃん)とワタシのサンダルは、この絵が付いてる色違いなんだよ。』


「そうだよな。

高山社長、このサンダルが落ちていた駐車場には、直ぐ近くに急発進したタイヤの後が有りました。

もしかすると…」


『桧山君、君の言わんとしている事は、理解した。

最悪の場合を考えて、このサンダルの件を警察に話しておいてくれるかい!?』


「分かりました。

それでは、もし相手から連絡があれば、最善の対応でチャンス君の救出を…」


『だよな!

まだ、そうと決まった訳じゃ無いから、とにかく警察の捜索結果を待ってみるよ。

今日会ったばかりの君達にも迷惑かけて仕舞ったな!』


「そんなの気にしないで下さい。

これも何かの縁ですから。

それでは、行って来ます。」


と言って、一礼してからビーチで捜索している警察の元に向かった。


まだチャンス君は、見つかっていなかった。


『リュウ、何処に行ってたの!?』


「これを駐車場で見つけて、チャンス君のか家族に確認してきた。」


『そのサンダルは、私も憶えているわ。

チャンス君の履いていたのと同じだわ。』


「だよな!

とにかく、警察に知らせてくるよ。」


『わかった。』


それから1時間後、ホテルの一室で、高山社長の携帯電話が鳴った。


『モシモシ、高山だが!』


『オタクの息子を預かっている。

無事に帰宅させたかったら、旧紙幣で1億円用意しとけ。

また連絡する。

警察には言うなよ。

息子がどうなっても知らないぞ!』


『わかった。

チ…チャンスの…息子の声を聴かせてくれ!』


『アッパ(パパ)、僕。

今は港近くの倉庫にいる……』


『おっと、余計な事は言わなくても良いから。

とにかく、また連絡する。』


『モシモシ、モシモシ…』


そして、電話が切れて仕舞った。


何故、俺の息子が誘拐されなきゃいけないんだ…!


金か!?


それとも、恨み!?


翌朝、一旦東京の自宅に全員戻ってきた。


皆と別れて、新大久保の自宅に戻り、荷物を置いて、家を出た。


高山社長の事が気になった俺は、直ぐ近くに在る新星MUSIC日本支社に向けて歩いて行った。



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