KISS AND SAY GOOD-BYE




8月6日に16歳になった俺は、バイトの無い日はいつも自動車学校に通っている。


今日は、卒業検定の日だ!


自動二輪の大型免許を取るために、キャンセル待ちも全部入って、10日程でこの日を迎えた。


実技も学科も1発で受かり、1週間後には免許が遣ってくる。


免許を取っても1年未満は2人乗りが出来ないから、美華と二人でバイクでデートって訳にはいかないが、それでも待ち遠しかった。


ハーレーダビッドソンの88年型のスポーツスターXLH883の中古を、通常100万円近くするのだが、知り合いのバイクショップのおやっさんが、自分で修理して乗るのならと、25万円で譲ってくれた。


破格の値段に喜んだが、キャブレターは交換しなければいけなかった。


海外から取り寄せて、掛かった費用は8万円だ!


シートをヤフオクで安く落札できたのが、唯一の救いである。


エンジンをオーバーホールして、折れているタペットをおやっさんから中古の部品を分けてもらい、シリンダも磨きなおして、ガスケットも交換した。


電気系統も新しい配線に全交換して、プラグとヒューズも全て新品になった。


ブレーキワイヤーも交換したし、残るはギアボックスだ!


磨り減ったパーツを新品に交換するだけで、10万円以上掛かって仕舞った。


結局、合計で車体込みで60万円を超えてしまい、貯金も稼いだバイト代も、ものの見事に消えてしまった。


こうなりゃ仕方ない!


またバイトして稼ぐしかないよなぁ.....!


なんて思いながら、最後の仕上げに塗装の落ちたタンクに龍の絵を描いている美華の手元を眺めていた。


さすがデザイン科だ!


見る見るうちに、カッコいい龍のペイントが施されていった。


後は、焼付けをして完成だ!


< 30 / 245 >

この作品をシェア

pagetop