KISS AND SAY GOOD-BYE
完成したバイクを陸運局で登録して、自賠責の手続きをして漸く路上を走ることが出来た。
そして、8月もいよいよ残すところ3日となり、バイトも一段落ついたので、夏休みのテキストをやり、最終日に漸く終わった。
俺は今、高山社長の誘いで新星MUSICに遣って来ている。
美華は、初めての芸能プロダクションに興奮気味で、キョロキョロと社内を見渡しているが、明らかに挙動不審である。
「美華、あんまりキョロキョロしていたら、怪しい人におもわれるぞ!」
『だって、初めてなんだもん!
さっき、時代劇で有名な進藤栄太郎さんが、アナウンサーの星川さんと歩いていたんだよ!』
「そりゃあ、芸能プロダクションなんだから、芸能人が歩いていてもおかしくないさ!
俺は、以前来た時にはミュージシャンの斉藤茂樹に会ったぜ!」
『スッゴイ!
私も、アイドル歌手のYUMIKAに会えないかなぁ…』
「そう都合良く会える訳無いじゃん!
って、あそこにYUMIKAが居るぞ!」
『あぁ~!
ホントだ!
ねぇ、サイン貰いに行こうよ!?』
「ミーハーだな!
俺たちは今日、高山社長に招待はされているけど、ここのタレントの仕事の邪魔しちゃ、社長の顔に泥を塗っちゃうじゃないか!」
『そうだよね!
兎に角、社長室に行きましょ!』
俺達は、エレベーターに乗って5階に在る社長室にやってきた。