KISS AND SAY GOOD-BYE





声のする方を見ると、そこには新庄さんが立っていた。


亀山は、この今の状況を理解したらしく、顔を引き釣らせていた。


『桧山ッチ、何やってんの!?』


「新庄さん!

どうしてここに!?」


『見回り中だよ!

最近、また放火が増えてるって、この辺りで騒がれてるからな!

亀山、お前ここで何遣ってんのさ!?

また迷惑かけてんだろ!?

あっちこっちから苦情が来てるぞ!

いい加減にしないと、チームから出て行って貰うことになるぞ!』


『新庄さん、違うんです。

この男が、カラオケ歌いに来た俺を入れてくれないんだよ!』


『桧山っち、本当かい!?』


「エントランスホールを見て下さい。

彼が暴れた跡がそのまま残ってますよ!

それに、お客様が入られているVIPルームを使わせろって、無理を言うから。」


『亀山! お前さ、一辺行儀したろか!?

俺に嘘まで付いて、自分の遣った事を隠して、一般の人に迷惑かけて、何処まで落ちりゃ、気が済むんだ!?

昔、お前俺に言ったよな!?

お前の親父さんの板金工場にチンピラが遣って来て、暴れまくって工場を潰された。

あんな思い二度としたくないし、俺と同じ思いしている人たちの力に成りたいって!

でも、今お前が遣ってる事って、昔お前んちで暴れたチンピラと一緒じゃないか!

一体、何が気に入らないんだ!?』


『・・・・・実は…今日親父の命日で・・・』


『アッ! 4年前に自殺した親父さんの命日か・・・』


『借金の保証人になって、騙されて工場取られて、情けなく死んでいった親父を思ったら、悔しくて・・・ムシャクシャして・・・つい・・・』

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