KISS AND SAY GOOD-BYE



『どんな事をやるんだい!?』


「兎に角、きちんと挨拶をする練習から、電話の応対、発言力を向上させたり、字の書き方から体力、企画力、精神力、愛社精神などを育てていくんです。

新星MUSICの所有する保養地があるでしょう!?」


『あぁ、静岡の高台にあるよ!』


「そこを研修道場として使うのはどうですか!?

そこで、1ヶ月くらい完全隔離状態で、平均睡眠時間4~5時間で朝から晩まで兎に角、勉強したり体力を鍛えたり、自分自身を追い込ませ戦力として戦える人材を育成するんです。

毎年、一番会社の暇な時期を各部署の幹部研修と幹部候補生研修の2回に分けて行うんです。

主任に成っていない社員の中から有望な人材を2名ずつ集めて、幹部候補生研修を行い、課長・係長クラスには幹部研修といった具合です。」


『なるほど!

これから幹部になる者にはその為の勉強と、幹部には幹部としての勉強を分けて行うのか…

なかなか面白いな。』


「それと、私は1アルバイトにすぎないので、本当は人事に口出しする事は言いたくないのですが、昇降格と給与の関係も、従来の年功序列みたいなのはやめて、出来るものにはそれなりのポジションと給与を与えて、頑張って無い者には減給や降格も有り得るという厳しいスタイルも会社には必要だと思います。」


『確かにそうだな。

私も、若い社員にはちゃんとチャンスも上げているつもりだが、失敗したらその社員が潰れてしまう恐れがあるじゃないか!』


「その為に上司が居て、社長の貴方が居るじゃないですか!

上司が部下にチャンスを与えて、失敗したら勿論ある程度の責任はその部下にも有りますが、上司がそれをフォローしてあげるのが会社組織じゃないんですか!?

それが出来ないと、会社の成長は止まって優秀な社員が育たないじゃないですか!」


『そうだったな!

私は大事な事を忘れていたみたいだよ。

確かに桧山君の言う通りだな。

私は、会社を大きくすることばかり考えて、根本的な事を忘れていたよ。』

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