KISS AND SAY GOOD-BYE
食事の後、2時間程ミーティングをして、この日は解散となった。
会議室から出ようとしたら、恵美子ねえちゃん(棚橋恵美子)に呼び止められた。
俺はすかさず美華の方に視線を向けたら、凄い顔で恵美子ねえちゃんを睨んでいた。
「美華、ここで待っていて!
きちんと話して、これから先問題が起こらない様にするからな!」
『大丈夫!
リュウを信じてるから。
裏切ったら分かってるわよね!?』
「勿論だよ!
俺は、美華だけだから。」
ロビー隅に有るソファーに不機嫌そうにドスっと腰掛けた美華は、缶コーヒーを一気に飲み干し、フッとため息を漏らした。
そんな美華を横目で見ながら、俺は恵美子ねえちゃんと階段の踊場まで歩いて来た。
「お話って何ですか!?」
『美華って言うのね、あの子!
なかなか可愛い子ね。
私達の事は知ってるの!?』
「えぇ!
さっき社員食堂で話しました。
で、お話って!?」
『久しぶりに会ったんだから、これからまた時々会って遊ぼうかと思って!
彼女には内緒でね!』
「それは無理です。
俺、今は彼女だけですから。
これから一緒に仕事をしていかなきゃいけないんですから、ややこしくなるのも嫌ですし、彼女を裏切りたくないので。
これからは、新星グループの企画推進室のために、お互い頑張って良い結果を出せるように遣って行きましょう。
それでは、美華を待たせているので帰ります。
それでは、また明日!
お疲れ様でした。」
『リュウ君、冷たいわね!
まぁ、良いわ!
今、私フリーだからいつでも誘って!
これ私の携帯の番号よ!』
「大丈夫です。
先程、古田係長から全員の連絡先を書いた資料を頂きましたので。
仕事で用事が有る時には連絡しますから。
それでは!」
一方的に言い放って、階段を駆け下り美華の待っているロビーの隅に向った。
この後、彼女のせいでとんでもない事になるとは、その時には思ってもみなかった。