KISS AND SAY GOOD-BYE
新星GTSに向けてバイクを走らせた。
渋谷の新星GTS1号店に到着したら、直ぐに店内へ入っていった。
懐かしい顔見知りのスタッフに挨拶しながら、
ちょっと人探しだから!
と言って、直ぐにエレベーターへと向かった。
4階に到着したエレベーターから降りると、直ぐに右側に曲がればルーム401からルーム410迄で、左側に曲がればルーム411から420迄がある。
ルーム420は、4階の一番奥深いところの部屋で、一番奥の廊下を更に左へ曲がらなければいけない。
部屋の中は真っ暗で、音楽は聴こえて来ない。
そぉ~っとドアを開け、ドア横の照明スイッチをいれた。
中を覗いてみると、恵美子姉ちゃん一人だけだった。
テーブルに顔を伏せているので表情は分からないし、一体どういった状況になっているのかも見当が付かない。
「棚橋さん、大丈夫ですか!?」
『…………』
「棚橋さん、桧山ですけど大丈夫ですか!?」
『あ~ぁ、りゅう君。
来てくれたの!?』
「ストーカーしている元カレって何処ですか?」
『あぁ あれ!? あれはウソよ。
りゅう君に逢いたかったからウソ言っちゃった。』
「ウワッ、臭っ!
どうしたんですか?
真っ昼間からお酒なんか飲んで!!!」
『そんな大袈裟に言わないでよ。
カクテル4~5杯くらいしか飲んでないんだから。』
「兎に角、何でもないなら僕を呼ばないで下さい。
仕事以外では、お付き合いしませんから。」
『りゅう君冷た~い。
私の事が嫌いなの!?』
なんて上目遣いで言ってこようが、俺には美華が居るからそれで………………
ヤッバイ!!!
今日はデートだったのに!
携帯電話を見ると、着信が10件!
美華が怒ってるぞ絶対に!
「兎に角、用事がありますので、もう帰ります。」
『りゅう君、今からうちに来ない!?』
「行きません。
失礼します!」
と言って、部屋を出て直ぐにエレベーターで1階へ。
『桧山君、お久しぶり!』
「あ、石川店長。
こんにちわ。」
『どうしたの!?』
「ちょっと人探しでして。
用事が終わりましたので、失礼します。
ちょっとこれからデートなもんで。」
『そっかぁ。
美華ちゃん元気にしてるか?』
「はい。
毎日、新星MUSICの日本支社で一緒にバイトしてます。」
と、新しく配属になった石川店長と、二言三言話してからバイクに股がり、一路世田谷は成城に向けて走らせた。