Love story of the truth
「ユキ・・・寝た?」

明らかに寝てない事はわかっているのに、そう聞いていた。

「寝てないよ・・・。」

低い声で答えたユキの声が耳元に響く。

自分から聞いたくせに、この先どうしていいかわからない。
何を話していいかわからない。
とにかく、何か話さなきゃ・・・。

「ユキって・・・背高いよね?」

焦って聞いたことは、こんな事だった。

「あぁ・・・183ある・・・。柚希は?」

こんな事にも、ちゃんと答えてくれた事が嬉しかった。
(今さらかよ!)とか(そんなこと聞いてどうする)って言われると思っていたから。

「157・・・。」

「それくらいが・・・抱き締めやすくて・・・ちょうどいい。」

そう言われた瞬間、私は何を思ったのかユキの腰に片腕を回して、背中に手を添えていた。
ユキの体がビクッと反応した。

「柚希の手、冷たくて気持ちいい・・・。」

そう言ったユキの声は、色っぽくて・・・ほんの少しだけ落ち着いていた心臓は再び高鳴り始めた。
ユキの身体は温かくて、頬をくっつけている胸は逞しくて綺麗で・・・私が腕を回している腰は、けっこう細くて・・・手を添えている背中は広くて・・・。
男の人の身体に初めて触れた時のようなドキドキ感が思考回路をストップさせた。

「ユキの身体は・・・温かいね。」

「そっか・・・。」

と・・・だけ答えたユキは腕の力を強めてくれて、

「柚希・・・おやすみ・・・。」

これはユキが私に何もしないと約束してくれたから、精一杯・・・我慢しているように思えた。

「おやすみ・・・。」

私もそう言ってギュッと瞼を閉じた。
その瞬間に、私は知った。

これが・・・私がわからなかった恋だって事。
ユキが教えてくれると言った、恋する感情だという事。
ユキがバーで微笑んでくれた時の有り得ないくらいのトキメキも恋してしまったから。

昨日、会ったばかりでまだ何も知らないユキに恋して・・・しまった。

そう、わかってしまったら・・・苦労するのになんて事は頭から離れていた。

私をこんなに惹きつけたのは・・・なに?




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