Love story of the truth
「トオルさん、今度・・・女の子のバイト入るって噂を聞いたんですけど本当ですか?」
週に何回か来る繁華街のバーで俺はマスターのトオルさんに訊ねた。
「どこで、お前はそんな噂を聞いたんだ。本当の話だけど・・・。」
「いつから来るんですか?」
そう聞いた俺に渋い顔をしたトオルさんは、
「明後日からだけど、その子には手を出すなよ。俺が前に働いていた店でバイトしてた子で、その時から可愛がってる子なんだからな。」
と言って注文したカクテルを出してくれた。
「まぁ・・・どんな子が見てから判断します。」
と笑うと、呆れたように溜息をつかれた。
俺は、村瀬 幸永。人材派遣会社で働く27歳のサラリーマン。
トオルさんに、あんな事を言われるのには訳がある。
俺は特定の女は作らないと、結婚まで考えた女に振られた時に決めて・・・この繁華街でナンパした女やナンパしてきた女と一晩だけの関係を繰り返している。セフレも何人かいる。
セフレの女は、後腐れのないホステスや風俗嬢。コイツらは、(今日、親父にお尻や太股触られて気持ち悪いから消毒してとか・・・今日の客が下手過ぎて満足出来なかったの。)と連絡があってから、ヤルだけヤッテ・・・満足させるだけでいいから楽だ。
真剣に付き合って、結婚を考えても俺の実家が寺だとわかると逃げて行く事を前の女で思い知らされた。だから、こうして遊んでる方がいい。今は、実家を出ているがいつかは寺を継がなければいけない。修行にも3年程、出なくてはいけない。それが、寺の息子に産まれた俺の宿命。